素直五段

今日は、私が顧問をしている ITの会社で講演をすることになり、品川にいきました。その会社は、企業の情報セキュリティを画期的に飛躍させるシステムを持っていて、大いに発展してもらいたいと思い、私も顧問としてお手伝いをしているのです。

講演は午後だったのですが、その社長さんとレストランで昼食をとりながら、いろいろ打ち合わせをすることにしました。
その会社の近くのイタリアンレストランにはいったのですが、なかなか小洒落た店で、「おおいい感じ」と思ったのですが、ところが、そのレストランの支配人の対応に驚いたのです。

そのレストランに入ったのは11時半でしたので、まだ店はそんなに混んではいませんでした。いや、かなりガラガラでした。当然私たちは、窓際の広めの席に行こうとしましたら、その支配人らしき人物が、「こちらにどうぞ」といったのは、真ん中あたりの、しかも他のお客さんとの相席のような場所だったのです。
私は、他にもいっぱい席が空いているので、「あちらの席がいいんだけど」と言ったら、「これからお昼で混み合いますので」というのです。
「ええええ???」と思いましたが、まあこんなところで喧嘩しても始まらないので、一応その席につきました。

しばらくすると、その支配人らしき人物は、何かを思ったのか「こちらの席をどうぞ」といって、今度は窓際の席に案内したのです。

食事が始まって、1時近くになっても、そのレストランは全く混む気配はありませんでした。
食事が終わって、その社長さんは「すみません。昔はあのレストランもきちっと対応していたのですが、今日の支配人は始めてみる顔でした。
あれではもう二度と行く気にはなりませんね。昔はいつも行列ができるような人気店だったのですがね」と私に謝っていました。

その社長さんが悪いわけでは全くありません。ただ思ったのは、そのレストランの支配人は全く悪気もなく、行動していたのでしょう。しかしあのような扱いを受けたら、多分普通の人は「こんなところ二度とくるか」と思うのだろうと思うのです。

昔松下幸之助翁は「素直な心が大事!」といつも語っていました。「人にはいつも自分が見えない自分がいるのや。それを人の心と目を通して知らんとあかんな。もし見えない自分の振る舞いによって、問題が発生していたら、それは大変やな。でもな素直になるためには時間がかかるな。素直の初段になるためには、素直になりたいと心から願って『30年』かかるな。二段になるためにはもう30年やな。そして五段になったら神様やな」と笑って語っていました。

今日のレストランの支配人らしき人物は、自分の振る舞いが相手にどのように映っているか、多分全くわかっていないのでしょう。
まあ、私が出張っていって「あなたの対応はダメですね!」と注意したところでおそらく聞く耳をもたないのでしょう。
しかし、私たち自身、そのような見えない心をもっていると思うのです。
お互い、できる限り「素直な心」を持ちたいものです。
そんなことを感じたお昼の出来事でした。
 
さて明日はまた大阪です。
今日は久しぶりにゆっくり休んで、明日は遅れないようにいかねば。
「こだまはダメ、こだまはダメ」と念じていけば、「こだま」に乗るようなヘマはしないでしょう。
しかし「猿のことを考えてはいけない!」といわれると、言われれば言われるほど、猿が頭の中を「うきききき!!」と飛び回るものですから、「こだま」のことはあまり気にしないようにしておきたいものです。
 
というわけでみなさん明日も元気で!
ごきげんよう!!