人生における「出会い」の妙

昨日は、アクティブ・ブレインの講師養成コースの2日目の午前中の講義を終え、午後からは、僕の友人の会社で研修をしてきました。

その友人というのは、社会保険労務士をしているのですが、今から8年前、彼の親友が自殺をしてしまい、そのことを苦にして社会保険労務士の仕事を辞めてしまおうと思っていた矢先に僕と出会ったという経緯があります。

たまたま彼は、僕の1時間ほどの講演を聴く機会があり、その1時間の話の間に彼の悩みは完全に消えてしまったというのです。
僕としては、自分の講演で悩みが消えたのなら、そんなすばらしいことはないと思うのですが、彼はそれから「もう一度、社会保険労務士の仕事をがんばってやろう!」と思い、仕事を再開したのだそうです。

そして彼は、とにかく経営者の人たちの悩みというものをすべて「ゼロ」にするという目標を掲げ、仕事に没頭しました。
その間、彼はアクティブの認定講師になり、僕のセミナーはことごとく受け、「人に関するプロ」になろうと決意したのです。
そうしたら、当初奥さんと二人だけで細々とやっていた仕事がどんどんと舞い込み、社員も一人二人と増えていったそうです。

今回僕は、彼の事務所で研修をするのは始めてだったのですが、15人の職員の方すべてがとても暖かく前向きなオーラを放っている姿を見て、感慨深いものがありました。

みなさんとにかく、仕事を愛し、お互いを尊重している感じがひしひしと伝わってくるのです。
そんな皆さんの話を聞いている中で、面白いエピソードを聞きました。

今から5年ほど前、彼が新宿で友人とお酒を飲み、その後終電近くの電車に乗りました。二人ともベロンベロンに酔っ払っていたために、眠りこけてしまったのですが、友人は浦和で降りなければなりません。
彼としては、その友人を浦和で起こさなければと思いながら、座ってうとうとしていたのですが、ふと気がつくとすでに電車は浦和を通り越して「大宮」だったそうです。

彼はびっくりして、隣の友人のほっぺたをぺしぺしたたきながら「大宮だよ!大宮だよ!」と叫んでいました。しかしその友人はすました顔で「大宮ですね」と言うばかりで、降りる風情がありません。
彼はなおも「大宮だよ!降りなきゃ!」と何回も友人に訴えたのですが、寝ぼけ眼をこすりながら、よく見ると、横に座っていた人は、彼の友人ではなく別人でした。つまり友人はすでに浦和で降りていたのです。

彼はびっくりして「すみませーーん!といったのですが、恥ずかしいったらありゃしない。

そのまま小さくなっていたのですが、彼は電車の降りしな、その人の手を握り、「さっきはすみませんでした!私はこういうものですが、また何かのご縁がありましたらよろしく」などといって、その人の胸ポケットに名刺をつっこんで立ち去ったのです。

その人も「けったいな人だなあ」と思っていたのですが、その名刺を見てその人は驚いたのです。
実はその人も社会保険労務士で高田馬場で仕事をしていたのですが、その事務所がかなりにブラック事務所で、自分の住んでいるところの近くの社会保険労務士事務所への転職を考えていたところだったからです。

その人は次の日、私の友人のところに電話をかけ、そして再び会うことになり、夜遅くまで飲み明かし意気投合し、その友人の社労士事務所にはいることになったのです。

彼は Tさんというのですが、今ではこの事務所の大黒柱として頑張っています。
人生というものは本当に面白いものですね。
彼は「私の人生には、様々な奇跡的な出会いがあり、今があります」としみじみ語っていました。

研修の後、みなさんと懇親の場でお酒を飲んだのですが、実に楽しく、また一人一人のつながりや出会いの不思議さを思うと、この今の瞬間があるというのは、それこそ格別な瞬間のようにも思えました。

帰りの車の中で、あの国民教育の父といわれる森信三先生の言葉が頭に浮かんできました。

「人間は一生のうち逢うべき人に必ず逢える。しかも、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎないときに」

今日と明日は、大阪にてスピーチ・プログラムをやっています。
受講されている方も、様々な理由や目的で集まってきているのですが、ここでも素晴らしい出会いがありそうで、ワクワクしながら講義をしています。

みなさん今日も良き出会いを!
そして、良き週末を!

ごきげんよう!