皆さんこんにちは。お元気でお過ごしですか?

829日、私は東京のオペラシティで「夢カンタービレコンサート」を開催しました。

満堂あふれる1700人のみなさんに集まっていただき、まさに感動のステージでした。

夢カンタービレコンサートは、一人一人の人々の夢を叶えていこうという思いで開きました。

このコンサートを思い立ったのは、今から丁度1年くらい前のことです。

一年半前、渡邊定雄さんという79歳の方が、アクティブを受講されました。アクティブでは、自分の夢のイメージを絵で描く時間があるのですが、渡邊さんは紙に、「一本の棒」を描きました。私が「これはなんですか?」と聞きましたら、「これは指揮棒です」と仰ったのです

「どうして?」と聞きましたら、彼はこんな話をしました。

中学校の時の、音楽の先生がとても美人で、その先生に憧れているうちに、クラシック音楽が大好きになった

そして毎日家でレコードを聴き、自分でも棒をふりまわして、指揮の真似事をしていた。

そして、

「一生のうちで、一回でもいいから指揮をしてみたい・・・・」と仰ったのです

私はその言葉を聞いて、ふと「ではその夢を叶えましょう」といいました。

私がそういうと、渡邊さんは、我に返り「いえいえこれは夢のまた夢ですから」と答えました。

しかし私の心の中では、がタクトを振っている場面がありありと見えてしまったのです。

しかしそれからが大変でした。渡邊さんは年齢が79歳です。しかも足が悪く、いつも二本の杖をついて歩いています。練習場にいくのも一苦労です。

そしていざ指揮の練習を始めると、やはりDVDを見ながら振っているのと実際は全く違います。3ヶ月くらいしてから、渡辺さんから「やっぱり無理です。やめたいです」という言葉が出てきました。

私は、そのも「いやせっかくですから是非やりましょう」といいました。その後も3度ほど「やめたい」と仰ったのですが、その都度、「がんばりましょう」といって続けてもらいました。

自分でも、少し「かわいそうかな」と思いましたが、しかしどうしても私の心の中で79歳の方が、不自由な体を使いながら、自分の夢を実現していく姿を多くの人に見てもらいたかったのです。

毎日3時間、仕事の合間を使い、練習にあけくれる日々が続きました。

しかし、本番の1ヶ月半前、初めてオーケストラの前に立って演奏したときも、緊張のあまり、ほとんど振れない状況でした。本当に落ち込んで意気消沈していましたが、しかしそこから15時間の猛特訓を重ねたのです。

コンサートの当日、渡邊さんは、会場一杯の聴衆を前にして、「展覧会の絵」の素晴らしい演奏を披露しました。

会場には感動の渦が生まれました。みなさんの心が「渡辺さん頑張れ」一色になり、終わった時には、涙している人も少なくありませんでした。

曲が終わったとき、私が壇上でインタビューしました。

「どうでしたか?」

返ってきたのはこの様な答えでした。

「このコンサートは『夢カンタービレコンサート』という名前がついていますが、私にとっては『地獄カンタービレコンサート』でした。

小田さんには、『やめる』という決心を伝えるために会ったのに、やめさせてもらえませんでした。足も痛いし、指揮も大変。本当に泣きそうな日々でした。

『どうしてこんなにひどいことをさせるのだろう』と恨んだこともありました。しかし今演奏を終わって、本当にこのコンサートは『夢カンタービレコンサート』だと思いました。人生の中で、こんなありえない奇跡のような体験をさせていただいたことを深く感謝します」と目に涙をためながら仰ったのです

会場は暖かい拍手で包まれました。後から、会場にいる多くの方が涙を流していたと聞きました。

私も「本当にやってよかったなあ」とほっと胸をなでおろしました。

また当日は、チャイコフスキーピアノコンクールで世界第2位になった藤田真央さんに素晴らしいピアノ演奏をしていただきましたし、また日本を代表するソプラノ歌手の森麻季さんに、まさに天から降り注いでくるような歌を歌っていただきました。

そして私は、私が指揮をする原点となった「のだめカンタービレ」の主題曲であるベートーベンの交響曲7全楽章を演奏させていただきました。

これもまた夢のような時間でした。このことについてはまた稿を改めてお伝えしたいと思います。

いずれにしましても、本当に多くの方々の凄い力の結集で素晴らしいコンサートになりましたことを深く感謝します。

本当にありがとうございました。

終演後、マエストロ渡邊と握手!