李登輝 元総統の死を悼む

先日、台湾の民主化の父といわれた李登輝 元総統が97歳で亡くなりました。

李登輝さんは日本でいえば、天皇のような存在でしたが、とにかく中国との難しい関係の中で台湾の民主化と近代化を推し進めていかれた方です。

そして同時に大の親日家でもあります。

 

実は私は一昨年李登輝 元総統のご自宅でお会いしたことがあります。この時すでに体調が悪く、当日まで会えるかどうかわかりませんでしたが、あの時のことは今でも心の中に鮮明に残っています。

私が、「日本精神とは何でしょうか?」とお聞きしたのですが、その時、にっこりされて、

「それは正直さです。日本人は誠実です」

とおっしゃた声がはっきりと耳に残っています。

そして私が最も心に残っているのは、別れの時握手をしたのですが、私の目をじっとみつめながら1分以上、私の手を握っておられたのです。
今までの人生の中で、力強い握手というものは何度も経験しましたが、あれほど深い握手というものは経験したことがありません。

ただ李登輝 元総統は、台湾の未来に対して、これからも台湾が中国との関係でその独自性を保っていけるのか、強く憂慮しておられました。

台湾と日本とは本当に深いつながりがあります。あの大震災があったときも、真っ先に救いの手をさしのべてくれたのは台湾です。

私たちは、歴史の中の台湾との深いつながりにも目を向けなければならないと思います。

今は李登輝 元総統が天国でゆっくりお休みになられることを祈ります。